「ナッツは健康にいい」と聞くけれど、どの年代でも同じように食べていいのでしょうか?実は、ライフステージによって必要な栄養素やナッツの選び方は異なります。子どもからシニア世代まで、必要な栄養素や摂取量の目安とともに、各ライフステージでのナッツの役立て方を紹介します。
成長期、妊娠中、更年期…それぞれの体に必要な栄養とは
成長期の子ども
子どもの成長には炭水化物、たんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をバランスよく摂ることが大切です。特に身長が伸び、身体が発達する時期は、骨の強度や密度も形成される時期でもあるため、骨を作るための栄養素であるカルシウム、たんぱく質は意識して摂り入れたい栄養素。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも重要です。(*1,2)
カルシウムはアーモンドに比較的多く含まれています。100gあたりのカルシウム含有量を牛乳とアーモンドを比較すると、牛乳の2倍以上のカルシウムがアーモンドには含まれています。また、カルシウムのほかに鉄やたんぱく質も含まれているので、成長期の子どもにおすすめしたい栄養素が含んでいるナッツです。(*3)
くるみにはたんぱく質の代謝に関与するビタミンB6が含まれています。(*4)肉や魚などのたんぱく質を摂るときにくるみを刻んで載せるなども良い食べ合わせです。
たんぱく質は骨の材料になるだけでなく、筋肉や内臓も構成する成分です。肉や卵などの動物性たんぱく質と豆類やナッツなどに含まれる植物性たんぱく質をバランスよくなります。
妊娠中の女性や妊娠を希望している女性
妊娠・出産は心身に大きく変化がある時期。まずは成長期の子ども同様に3食をバランスよく食べることが基本です。

赤ちゃんの成長に大切な栄養素のひとつが葉酸です。葉酸は赤血球の生成を助ける働きや、DNA合成に関与します。妊娠初期には脳や脊椎の基となる神経管の形成が進むため、妊娠の可能性がある時期から十分な摂取が推奨される栄養素です 。(*5)葉酸は緑の葉物野菜に加え、ナッツではくるみ、アーモンド、カシューナッツなどに含まれています。(*3)
また、妊娠中は血液量の増加に伴ってむくみを感じやすくなることもあります。塩分の摂りすぎに注意しつつ、体内の水分バランスの調整に関与するカリウムを含む食品を意識するのも一案です。 (*6)ナッツではピスタチオに比較的多く含まれています。
40~50代の更年期
40代から50代の更年期はホルモンバランスの変化によって、体にさまざまな変化が起きます。卵巣機能が低下して女性ホルモンであるエストロゲンが徐々に低下してくる時期です。ほてり、のぼせ、不眠などの症状が起きることもあります。(*7)
食事面では脂質バランスに配慮したい時期。オメガ3脂肪酸はその一助となる栄養素でくるみにはα‐リノレン酸が含まれます。
大豆イソフラボンはエストロゲンと構造が似ている成分として知られています。 (*7)大豆製品や大豆加工品に含まれています。煎り大豆は大豆イソフラボンと植物性たんぱく質も摂取することができます。間食としてもおすすめです。
さらに、ホルモン変化により骨密度が低下しやすい時期でもあります。骨の材料であるカルシウムに加え、吸収を助けるビタミンDを摂取することも心がけてください。カルシウムはアーモンドに含まれ、ビタミンDは魚類やきのこ類に含まれています。
ナッツがサポートする各年代の健康課題
20〜30代の働き盛り・子育て世代
ストレス対策にマグネシウム
仕事や家事に忙しい20〜30代は、簡単な食事になりやすい傾向があります。忙しい毎日を乗り切るために疲れを溜めないために意識したいのがビタミンB群です。ビタミンB群はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12 、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの総称でエネルギー代謝の補酵素として使われ、1種類を摂取するよりも複数を取り入れることで、より高い効果が発揮できます。(*4)
ビタミンB1はカシューナッツやピスタチオに多く含まれ、ビタミンB2はアーモンドに多く含まれます。ミックスナッツのようにいろいろなナッツを一緒に摂るのもおすすめの食べ方です。ビタミンB群は水溶性のビタミンで体内に貯めにくいため、一度に大量に摂るよりも毎日こまめに摂ることを意識してください。
忙しいときはイライラしやすくなってしまうことも。そんなときに摂り入れたい栄養素はマグネシウムです。マグネシウムは神経の働きに関与しています。 (*9) アーモンド、くるみ、カシューナッツ、ピスタチオ、マカダミアナッツなどのナッツに多く含まれています。 (*3)

60代以降は健康を保ちたい世代
イキイキした生活を続けるためには骨や筋肉が健康であることは不可欠です。また、シニア世代では食欲不振から体重が減少し、低栄養状態となることも少なくありません。令和5年の国民健康・栄養調査では、65歳以上の高齢者における低栄養傾向の者(Body Mass Index(BMI)≦20kg/m2)の割合は男性12.2%、女性22.4%と報告されています。(*10)
低栄養を防ぐためには、たんぱく質の摂取が大切です。肉、魚、卵などの動物性たんぱく質に加え、大豆製品やナッツに含まれる植物性たんぱく質をバランスよく摂り入れましょう。また、たんぱく質の代謝に関係するビタミンB6も併せて摂り入れてください。
年代別おすすめナッツの食べ方アレンジ
成長期の子どもや働き盛り世代
刻んだナッツをクッキーやパンケーキに混ぜ込むと、香ばしさと食感がプラスされます。ドライフルーツと合わせた手作りグラノーラもおすすめです。甘味は控えめにして、牛乳や豆乳と一緒に摂ればカルシウムの補給にもつながります。
60代以降におすすめのアレンジ
毎日の食事に少しずつナッツをプラスすることで、無続けやすくなります。例えば、炒め物や和え物に砕いたナッツを加える、白和えの豆腐にナッツペーストを混ぜるなど、食感とコクを加える工夫がおすすめです。塩や砂糖を加えていない素焼きタイプを選ぶことで、塩分や過剰なエネルギーの摂りすぎを防ぎやすくなります。
<参考文献>
*3:文部科学省「日本食品標準成分表2025年版(八訂)」
*4:厚生労働省,「日本人の食事摂取基準(2025年版)」,各論,ビタミン(水溶性ビタミン)
*5:厚生労働省「e-ヘルスネット」葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果
*7:厚生労働省「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」更年期障害とは?
*8:大豆イソフラボンアグリコンの更年期障害に対する効果について, 公益社団法人 日本人間ドック学会, 172-177, 2002
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390001204336775808

