レシピに「コーンスターチ」と書かれているけど、家にあるのは片栗粉。代用していいのか、迷ったことはありませんか?似ているようで実は違う2つの粉。今回はコーンスターチの特徴を、製菓の視点からわかりやすく解説します!
コーンスターチと片栗粉、どう違う?
原材料の違い
コーンスターチと片栗粉はどちらも「でん粉」ですが、原料が違います。コーンスターチは名前の通り、とうもろこしの胚乳部分から作られています。一方で片栗粉は主に馬鈴薯から作られたでん粉です。以前は「カタクリ」という植物からとっていましたが、原料の不足によって現在は馬鈴薯からとったでん粉が主流になっています。見た目は同じ白い粉ですが、原料の違いによって調理時の粘度や透明感などが異なります。

(左:コーンスターチ/右:片栗粉)
でん粉の性質とその特徴
コーンスターチや片栗粉などのでん粉に水を加えて混ぜても、溶けません。混ぜながらゆっくり加熱していくと粘りが出ます。この現象を「糊化(こか)」といい、糊化温度がでん粉の種類によって異なります。
一般的にコーンスターチは片栗粉よりもやや高めで62〜74℃、片栗粉は56〜66℃です。(*1)片栗粉は高温で加熱を続けるとでん粉が壊れ、粘度が低下するため長時間の加熱には向きません。
仕上がりの差
コーンスターチは片栗粉に比べてやや粘度が低いものの、温度が下がっても粘度を保つことができる安定性があります。そのため、プリンやカスタードクリームなど冷やして食べるものに使われています。
片栗粉は加熱して温度を上げると無色透明になるので料理のとりみづけや、唐揚げなどの衣に使われることが多いです。ただし、冷めると水分が分離して粘度が低下するため、冷たくして食べるものには向きません。
コーンスターチを揚げ物に使うとべたついてくっつきやすくなるため、薄力粉などを混ぜて使うと使いやすいです。このようにそれぞれの特徴によって仕上がりが変わってきます。
製菓で使うならどっち?向き・不向き
プリンやカスタードなどのひんやりスイーツはコーンスターチ
プリンやカスタードクリームを作る際、仕上がりのなめらかさが大切です。コーンスターチは加熱による粘度の立ち上がりがゆるやかで、ダマになりにくいため、牛乳や卵との相性がよいです。口当たりのよいクリームやプリンを安定して仕上げることができます。特にカスタードは卵黄や砂糖、牛乳を加熱しながらとろみをつけていく工程があり、粉の特性によってなめらかさが変わる繊細なお菓子。コーンスターチを選ぶことで、しっとりした舌触りと均一なとろみが出やすくなります。なめらかさを重視する製菓は、コーンスターチが活躍するのです。
一方、片栗粉で作った場合はやや固めに仕上がるので、水分量の調整が必要です。

(左:コーンスターチ/右:片栗粉)
和食のとろみ付けは片栗粉
一方、片栗粉は加熱による粘度の立ち上がりが早く、しっかりとしたとろみが特徴です。そのため、和食の「あんかけ」や中華料理のとろみ付けなど、料理全般に向いています。お菓子づくりに使う場合も、透明感のあるとろみを生かしたフルーツソースやゼリー風デザートなどで活躍。ただしプリンやクリームのように、なめらかさが求められるお菓子ではやや固めの食感になりやすいため、代用には注意が必要です。基本は片栗粉は料理、コーンスターチは製菓と覚えておくと、失敗を防ぎやすくなります。
プロも使う“食感調整”のポイントとは
口当たりをなめらかにする役割
コーンスターチは製菓の世界で、口当たりをなめらかにするために欠かせない存在。カスタードクリームやプリンだけでなく、チーズケーキやムースのベースにも使われています。卵や乳製品と混ざることで舌触りをソフトに仕上げ、全体のまとまりを良くしてくれるのです。片栗粉ではやや粘りが強くなるため、この「軽やかな口当たり」を出すのが難しいことも。パティシエが仕上がりにこだわってコーンスターチを選ぶのは、この特性を活かすためといえるでしょう。
焼き菓子にサクッとした食感を出す
クッキーやビスケット、タルト生地などの焼き菓子にも、コーンスターチはよく使われます。薄力粉に少量混ぜることで、グルテンの働きをやわらげ、生地をサクサクとした食感に仕上げられるのがポイント。片栗粉でも代用は可能ですが、ややもちっとした仕上がりになりやすく、軽い歯触りを出したい場合にはコーンスターチが適しています。配合全体の5〜10%など少ない場合は片栗粉でも代用可能です。
コーンスターチを使って本格的なスイーツを楽しんでみてはいかがでしょうか?
<参考文献>
*1: 農畜産業振興機構「植物が創り出す―さまざまな「でん粉」の性質」
https://www.alic.go.jp/joho-d/joho07_000047.html

